Notionデータベース活用によるチームの申請・承認ワークフロー最適化
Notionで実現する申請・承認ワークフローの効率化
チームで業務を進める上で、様々な申請や承認のプロセスは避けて通れません。経費申請、休暇申請、備品購入申請、情報公開申請など、その種類は多岐にわたります。これらのプロセスが、メール、チャット、あるいは紙ベースで個別に管理されていると、申請状況の追跡、承認者へのリマインド、過去履歴の検索、全体像の把握などが煩雑になり、チーム全体の生産性を低下させる要因となります。
Notionを活用することで、これらの申請・承認プロセスを一元管理し、効率的かつ透明性の高いワークフローを構築することが可能です。データベース機能を核に、申請内容の集約、ステータス管理、承認者への通知、関連情報との紐付けなどを自動化・可視化することで、ボトルネックを解消し、チームのワークフローを最適化できます。
この記事では、Notionデータベースを用いた申請・承認ワークフロー構築の具体的な方法と、チームで円滑に運用するためのポイントを解説します。
申請・承認ワークフロー構築の基本設計
Notionで申請・承認ワークフローを構築する際は、まず専用のデータベースを作成することから始めます。このデータベースが、すべての申請情報を集約し管理する中心となります。
データベースのプロパティ設計例
申請・承認データベースに必要な主なプロパティは以下の通りです。
- 申請タイトル: 申請内容を簡潔に示すテキストプロパティ。
- 申請者: Personプロパティ。申請を行ったメンバーを紐付けます。
- 申請日: Dateプロパティ。申請を行った日付を記録します。
- 申請の種類: SelectまたはMulti-selectプロパティ。「経費申請」「休暇申請」「備品購入申請」「情報公開申請」など、組織内の申請の種類を設定します。これにより、申請の種類ごとに集計やフィルタリングが可能になります。
- 申請内容詳細: TextまたはPage Content。申請の具体的な内容や詳細を記述します。必要に応じてNotionページ内で構成要素を追加することも可能です。
- 添付ファイル: Files & mediaプロパティ。領収書や企画書など、申請に必要なファイルを添付します。
- 現在のステータス: Selectプロパティ。ワークフローの現在の段階を示します。例えば「未申請」「申請中」「承認」「否認」「差し戻し」「完了」などのステータスを設定します。各ステータスに色を付けると視覚的に分かりやすくなります。
- 承認者: Personプロパティ。承認を行う担当者を紐付けます。承認ルートが複数ある場合は、複数の承認者を指定できるように設定を検討するか、別データベースとのリレーションで管理することも考えられます。
- 承認日: Dateプロパティ。承認者が承認を行った日付を記録します。
- 承認コメント/理由: Textプロパティ。承認者からのコメントや、否認・差し戻しの理由を記録します。
- 関連プロジェクト/タスク: Relationプロパティ。申請が特定のプロジェクトやタスクに関連する場合、該当するデータベースの項目と紐付けます。これにより、プロジェクトやタスクの文脈で申請情報を把握できます。
ワークフローの構築と自動化
データベースを設計したら、これらのプロパティを活用してワークフローを構築します。
申請プロセスの標準化
テンプレート機能を利用することで、新しい申請を作成する際の入力項目やページ構成を標準化できます。申請の種類ごとにテンプレートを作成しておくと、申請者は必要な情報を漏れなく入力しやすくなります。テンプレートボタンを設置すれば、ワンクリックで新しい申請ページを生成できます。
ステータス管理とビューの活用
「現在のステータス」プロパティは、ワークフローの中核となります。カンバンボード形式のビューを作成すると、各ステータス列に申請アイテムが並び、視覚的に全体の状況を把握しやすくなります。
また、承認者ごとに「自分に割り当てられた申請中の項目」を表示するフィルタリングされたビューを作成したり、申請の種類ごとに集計を行うビューを作成したりすることで、情報の活用効率が高まります。
オートメーションによる通知とアクション喚起
Notionのオートメーション機能は、申請・承認ワークフローの効率化に非常に有効です。
- 申請時の通知: 新しい申請が作成され、「申請中」ステータスに設定された際に、特定の承認者または承認者グループにNotion通知またはSlack通知を送信するオートメーションを設定できます。
- ステータス変更時の通知: 申請が「承認」または「否認」された際に、申請者に通知を送るオートメーションを設定できます。
- 承認者へのリマインド: 「申請中」のステータスで一定期間経過した項目に対し、承認者にリマインド通知を送るオートメーションを設定できます。
これらの自動通知により、申請の見落としを防ぎ、承認プロセスを迅速化できます。
承認ルートの表現
単純な「申請→承認」だけでなく、複数段階の承認や条件分岐を含む複雑な承認ルートをNotionで表現するにはいくつかの方法があります。
- 複数承認者プロパティ: シンプルなケースでは、承認者プロパティを複数用意し、順番に担当者をアサインしていく方法。
- 承認履歴サブデータベース: より複雑なルートや履歴管理が必要な場合は、別途「承認履歴」のようなデータベースを作成し、申請データベースとリレーションで紐付けます。承認が必要なステップごとに履歴アイテムを作成し、ステータスや承認者を管理します。
- ステータス詳細化: ステータスプロパティを「一次承認中」「二次承認中」「最終承認」のように詳細化することで、現在の承認段階を示す方法。
どの方法を選択するかは、組織の承認プロセスの複雑さによります。
チームでの運用と定着化
ワークフローを構築するだけでなく、チームでスムーズに運用し定着させることが重要です。
- ルールの明確化: どのような申請はこのデータベースで行うのか、各ステータスの定義、誰が承認者となるのかといったルールを明確にし、チーム全体に周知します。
- アクセス権限の設定: データベースや個別の申請ページに対し、適切なアクセス権限を設定します。例えば、申請者は自分の申請のみ編集・閲覧可能、承認者は担当する申請の編集・閲覧・ステータス変更が可能、管理者はすべての申請を閲覧・編集可能、といった設定が考えられます。
- 定期的なレビュー: 構築したワークフローが実際に機能しているか、ボトルネックが発生していないかなどを定期的にレビューし、必要に応じて改善を加えます。
- 活用事例の共有: チーム内で「Notionで申請・承認を始めてから〇〇が改善された」といった活用事例を共有し、Notionでのワークフロー利用を奨励します。
まとめ
Notionデータベースを活用することで、これまで散在しがちだった社内申請・承認プロセスを一元管理し、効率的かつ透明性の高いワークフローを構築できます。データベース設計、ステータス管理、ビュー、オートメーション、そして適切な運用ルールの設定を通じて、申請状況の可視化、承認プロセスの迅速化、履歴管理の効率化を実現し、チーム全体の生産性向上に貢献します。
Notionの柔軟性を活かし、自社の申請・承認プロセスに最適な形でデータベースとワークフローを設計・改善していくことが、効率化を成功させる鍵となります。