Notionデータベースでチームの改善提案・アイデア収集・管理・追跡の効率化を実現する
チームの改善提案・アイデア管理における課題
チームで業務を進める中で、メンバーからの改善提案や新しいアイデアは非常に価値のあるものです。しかし、それらの情報がチャットツール、メール、個人のメモなどに分散していると、以下のような課題が発生しやすくなります。
- 情報の散逸: 重要な提案が見落とされたり、埋もれてしまったりする。
- 追跡の困難さ: 提案が現在どのような状態にあるのか(検討中、採用、実施中など)が不透明になる。
- 評価・意思決定の遅延: 提案内容の比較検討や、関係者間での議論・合意形成に時間がかかる。
- 進捗の不透明性: 採用されたアイデアがどのように進んでいるか、誰が担当しているかが分かりにくい。
- ナレッジの蓄積不足: 過去の提案内容や検討プロセスが記録されず、次に活かせない。
これらの課題を解決し、チームとして継続的に改善を進めていくためには、改善提案やアイデアを一元的に集約し、体系的に管理・追跡できる仕組みが必要です。Notionのデータベース機能を活用することで、この仕組みを効率的に構築することができます。
Notionでの改善提案・アイデア管理データベース設計
チームの改善提案やアイデアを効率的に管理するためのNotionデータベースを設計します。基本的な構造と必要なプロパティについて解説します。
データベースの作成
新しいページを作成し、データベースの種類として「インライン」または「フルページ」を選択します。ここでは「改善提案・アイデア」といった名称を付けます。
必要なプロパティ
データベースには、提案内容を管理・追跡するために役立つ様々な情報を格納します。以下に、推奨されるプロパティとその設定例を示します。
- 名前 (Title): 提案・アイデアの簡潔なタイトル(必須プロパティ)。
- 提案内容 (Text): 提案・アイデアの詳細な内容や背景、期待される効果などを記述します。
- 提案者 (Person): 提案したチームメンバー。
- 提出日 (Date): 提案が提出された日付。デフォルト値を「今日」に設定すると便利です。
- ステータス (Select または Status): 提案の現在の状況を示します。例えば、以下のような選択肢を設定します。
- 新規
- 検討中
- 情報収集中
- 保留
- 採用(計画中)
- 実施中
- 完了(成功)
- 完了(不成功/再検討)
- 却下
- 統合(他の提案とまとめた)
Status
プロパティを利用すると、「ToDo」「In progress」「Complete」のグループ分けが自動的に行われ、ボードビューなどで管理しやすくなります。
- カテゴリ (Multi-select): 提案がどの領域に関するものか分類します。(例: 機能改善、業務フロー効率化、新しい施策、組織改善、ツール導入など)
- 優先度 (Select): 提案の緊急度や重要度を示します。(例: 高、中、低、検討不要)
- 担当者 (Person): その提案の検討や実施を担当するメンバーやチーム。
- 期日 (Date): 検討や実施の目標期日。
- 関連プロジェクト (Relation): 提案が特定のプロジェクトに関連する場合、そのプロジェクトを管理している別のデータベースと連携させます。これにより、プロジェクト側から関連する提案を確認したり、提案側から関連プロジェクトの情報を参照したりできるようになります。
- 議事録・議論 (Relation または URL): 提案に関する議論が行われた会議の議事録ページや、関連するチャットスレッドへのリンクを貼ります。別の議事録データベースがある場合はRelationで連携すると追跡しやすくなります。
- 最終更新日 (Last edited time): その提案に関する情報が最後に更新された日時が自動的に記録されます。
- コメント/決定事項 (Text または Page content): 提案に関する議論の結果や、決定された内容を記述します。ページ本文に詳細を記載しても良いでしょう。
これらのプロパティを設定することで、個々の提案に関する情報を構造化し、後から検索・集計・追跡しやすくします。
効率的なワークフロー構築とNotion機能の活用
データベースを設計したら、チームで提案を収集・検討・追跡するためのワークフローをNotion上で構築します。
1. 提案の収集
- 誰でも追加できる環境: チームメンバー全員がデータベースにアクセスし、新しいページ(提案)を追加できるように権限を設定します。
- テンプレートボタンの活用: よく使う提案テンプレート(例: 「新規機能提案テンプレート」「業務改善提案テンプレート」)を事前に作成しておき、データベースページの上部などにテンプレートボタンとして設置します。これにより、メンバーは簡単に必要事項を記入した提案を作成できます。
- フォーム連携の検討: Notion APIを活用し、Google Formsのような外部フォームツールと連携させることで、より手軽に提案を収集し、自動的にデータベースに追加することも可能です。
2. 検討・評価プロセス
- ボードビューでの可視化: データベースを「ステータス」プロパティでグループ化したボードビュー(カンバン形式)を作成します。「新規」「検討中」「保留」「採用」「却下」といった列に提案を移動させることで、視覚的にワークフローを管理できます。
- 定期的なレビュー会議: チームの定例会議などで、このボードビューを見ながら提案内容をレビューする時間を設けます。
- フィルタリングとソート: 「カテゴリ」「優先度」「提案者」などでフィルタリングし、特定の条件に合致する提案のみを表示して議論を深めます。「提出日」や「最終更新日」でソートすることで、新しい提案や長期間放置されている提案を把握しやすくします。
- コメント機能: 提案ページのコメント機能やページ本文を活用し、提案に関する議論やフィードバックを記録します。
3. 実施・追跡
- 関連タスクとの連携: 「採用」された提案は、関連するプロジェクトやタスク管理データベースとRelationプロパティで連携させます。提案ページから直接、関連タスクへのリンクをたどれるようにします。
- ステータスの更新: 提案の進捗に合わせて、「実施中」「完了」などのステータスを正確に更新します。
- 担当者の明確化: 「担当者」プロパティを設定し、誰がその提案の実現をリードしているのかを明確にします。
- オートメーションの活用(Notion自動化):
- ステータスが「採用」に変更されたら、関連する担当者やSlackチャンネルに通知を送る。
- 担当者が設定されたら、期日プロパティが空欄の場合に自動的に期日を設定する。
- ステータスが「完了」に変更されたら、最終更新日を自動的に記録する(
Last edited time
プロパティで代替可能)。 これらのオートメーションを設定することで、ワークフローの自動化を進め、担当者の負担を軽減できます。
4. 結果の共有・ナレッジ化
- 完了後の記録: 提案が「完了(成功/不成功)」または「却下」となった場合、その結果や理由、学んだことなどをページ本文に記録します。これにより、後から参照可能なナレッジとして蓄積されます。
- ビューでの集計: 「ステータスごとの提案数」や「カテゴリごとの完了数」などをデータベースビューの計算機能(Count, Percent per groupなど)で表示し、チームの改善活動の成果を定量的に把握します。
チームでの運用におけるポイント
この仕組みをチームで定着させるためには、いくつかの運用上のポイントがあります。
- 運用ルールの明確化: 「どのような提案をこのデータベースに入れるか」「ステータス変更のタイミング」「議論の場所」などの基本的なルールをチーム内で共有し、ドキュメント化します。
- 定期的な情報共有: 定例会議でデータベースを確認する習慣をつけ、提案状況をチーム全体で共有します。
- 積極的なフィードバック: 提案者に対して、提案の受け入れ状況や検討結果、進捗状況を適切にフィードバックする文化を醸成します。
- アクセスしやすい場所への配置: チームが日常的にアクセスするダッシュボードページなどに、このデータベースへのリンクやビューを埋め込んでおきます。
まとめ
Notionのデータベース機能を活用することで、チームで発生する多様な改善提案やアイデアを単なる思いつきで終わらせることなく、体系的に収集・管理・追跡することが可能になります。提案の情報の散逸を防ぎ、ワークフローを可視化し、メンバー間の情報共有を促進することで、チーム全体の効率化と継続的な改善活動を強力に推進することができます。
このデータベースは、ここで提案したプロパティやワークフローをベースに、チームの特性や管理したい情報に合わせて柔軟にカスタマイズすることが重要です。ぜひ、貴社のチームに最適な改善提案・アイデア管理の仕組みをNotionで構築し、活用を始めてみてください。